babel



 ――君の想いを、端から順番に教えてあげようか――

 男は笑った。冗談みたいに綺麗な笑みだった。

 私は、自分のことを、誰かに判断されるなんて真っ平ごめん。そんな、他人の理解を得てホレちゃうような、ちゃらちゃらした娘とは違うから。だから、首を横に振った。それなのに男は勝手に喋りだす。当たらずも遠からずなソレが、私の想い、らしい。当たってるかどうかなんて、知らない。

 だって、私と男の間には、決定的なミゾがある。それは、

 

“バベルの塔”

 

 私達人間は、神の怒りを買って、バベルの塔を崩された。まるで、泡沫の夢のように。そして、沢山の言葉が生まれた。きっと、数の概念が生まれる前。ひとそれぞれに違う言葉。

 今私は、日本語を喋っている。男もまた、日本語を喋っている。

 でも、これこそが、バベルの塔よりひどい悲劇。

 想いは決して、通じない。言葉が生まれた、その瞬間から。



意味不明加減が相変わらずです。

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