セリオールの手記

あとがき





 セリオールの手記、お読みいただきありがとうございます。

 

 

 ふっと浮かんだ設定と名前を使い、書きだせば何とも微妙な一人称で、しかも名前を出す機会を逸してそのまま進み、思った以上に登場人物は少なく、話も当初の予定より短くなり、最後にオチまでついたという、どうも始末に負えない物語です。いかがでしたでしょうか。

 神の筆記者は、全員ただの人間です。神に“書を記す”という責任を負わせられ、とんでもない長命になったというだけのことです。異世界『アイ』の神は、愛という言葉からはかけ離れている感じがします。別に皮肉で付けたわけではないのに、何か皮肉のような名前ですね。

 誰も彼もが文字を書けるわけではない、という世界。想像すると、怖いです。全ての文化は口伝で伝えられ、それが途切れれば知る手段はない。ということは、もし戦争など起きたら、いくつの文化が消えさることでしょう。今さらながら、人類に共通の媒体である言葉の偉大さを、少し実感するものです。その恩恵にあずかるものとしては、言葉は大切にしていかないといけないところですね。

 

 

 ……もし言葉がなかったら。人間は、代わりに何を作りだしていたのでしょうね。私には考えも付きませんが、皆さま、どうお思いでしょう。

 

 

 

 

 

09/04/02 完結 




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