<双子七題> 1.仲が良いとは限らない
双子というと、何か特別に見られる。でもそんなこと、全然ない。いつも一緒にいるから、相手のいいところも悪いところも筒抜けだ。同じ顔をして自分と違う相手のことを特別に思うなんて、少なくともナアとムウには全くない。 朝起きて服を着替え顔を洗って食卓に着きトーストにバターを塗った後、ナアはさらに苺ジャムを塗り、ムウはハムをのせた。 「・・・苺ジャム、不味いじゃん」 「はあ? ・・・むしろお前のハムの方がどうよ。やっぱトーストにはジャムだろ」 「ジャムはまあ、いいけどさ。苺はやだ」 「そうか? ・・・俺は、マーマレード嫌いだな」 「えー、マーマレード美味いじゃん」 「そうかあ?」 ナアとムウは互いに不満げな顔をしつつ話をやめ、朝飯を食べ終えると歯を磨き、遅れるわよ早く行きなさいと急かす母親の声を背に、鞄片手に家を飛び出す。 学校に向かう途中、すれ違った女の子を見てムウが声を上げる。 「さっきの子、かっわいー」 「顔はね。・・・あれでボブヘアーならもっと可愛いのに」 「ええ? ロングの方がいいじゃん!」 「いや、女子は髪短い方がより可愛いって!」 「えー・・・」 ナアは念押しするように、絶対髪は短い方がいいってと繰り返す。まあどっちでもいいけどさ、と言葉を濁したムウは、小さくため息を吐く。 双子の好みが一緒とは限らない。それに対してどうこう言うには、あまりに一緒にいすぎるために頻繁すぎて、疲れてしまう。 仲が良い? 確かに。・・・妥協の上での仲の良さなら、ピカ一だ。
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