リィスのひとびと

<双子七題>   2.テレパシーよりプライバシーを





 今日も天気は快晴、絶好の学校日和。だけど、

「おい、ムウ! 起きろよ!」

「ううん・・・後で起きる」

「今起きろ!」

 ムウは寝起きが悪くて、毎朝毎朝叩き起こさないとならない。面倒だけど、仕方ない。同じ部屋にいる以上、弟の面倒もちゃんと焼いておかないと。

 

 

 いつまで経っても二人部屋、いいかげん、個室が欲しい。

 そうすればナアのいびきに悩まされなくても済むだろうに、とムウは眠い頭で考える。毎朝起きられないのはお前のせいだって、指摘できたら楽だろうけど、いびきがひどいだなんて、さすがに相当落ち込みそうだから、言わないでいる。

 一番いい方法は、お互いに個室をもつことだ。母親に提案してみようか。でもきっと、まだ早いとか、そんなに部屋は余ってないとか、言われることだろう。

 

 

 ムウは本当に寝起きが悪くて、どうして双子なのにこれほど違いはあるのかと、本気で不思議に思ったことがある。

 時々、考えてることが信じられないほど同じことはあるのに、別の場所で同じ時とった行動が全く一緒ということもあるのに、違うところは違うものだ。

 

 

 本当、切実に、一人部屋が欲しい。

 いびきだけの問題ではない。ナアに、俺がしていることの何もかもを知られているのが落ち着かない。双子だって、違う人間だ。四六時中他人と一緒にいれば、ストレスくらい溜まる。話し合ったことはないけど、ナアだって同じ思いだ。そのくらいわかる。

 

 

 

 

 その日、別々に帰ってきたナアとムウは、それぞれ母親に申し出た。

「ねえ、一人部屋欲しいんだけど」

 ・・・無論、母親には笑って流された。




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