リィスのひとびと

<双子七題>   3.おまえの趣味、さいあく





 本当にこいつは趣味の悪い奴だと思う。赤と青のボーダー? 何でそんな服選ぶんだっ!

 今日は休みの日、家族皆で買い物に行った。主に生活用品を買いに行ったのだけど、服を買ってあげると母親がお金をくれた。二人一着ずつ、ティーシャツを帰るだろうくらいのお金で、手近な店に入って、よりにもよってナアが「気に入った」と言ったのは、目が痛いような原色の、赤と青のボーダーの服。絶対よくないと反対してるのに、絶対これにすると言う。どこが気に入ったんだ、そんな服。

「ムウだって、何だよそれ。変な茶色の無地。爺さんじゃないんだから、もう少し若いの選べよ!」

「俺はこれでいいんだよ。別に地味でも派手でもないだろ、これ」

「いや、地味だろ。色変だし」

「普通だろ。お前のそれは、派手すぎ!」

「このくらい普通だって!」

 会話が成り立たない。お互い、相手の服が地味すぎ派手すぎと言い合うが、結局、相手が気に入ったのならしょうがないと、それを買って親の下に戻った。

 

 

 ナアとムウが買ってきた服を見た父親は、何とも言えない顔をしたが、あえて何を口に出しもしなかった。が、母親は、

「どっちもどっちねぇ。二人とも、もう少し年相応の服、今度は買ってきなさいよ」

 と、双子を一刀両断した。

 

 

 

 

 他から見れば、どっちの趣味も、結局五十歩百歩であるということらしい。




2へ   目次へ   4へ