シィエス学園遊楽録

三話   変人と傾倒者の闘争





 少し遅い昼。クラウンは偶然エスクードを見つけ、

「エスー! これからお昼ー?」

 大声で尋ねてみた。廊下の向こう端にいたエスクードは振り返って歩みを止める。小走りに近寄ると、

「一緒に食うか」

 提案する。こくっと頷き、二人は並んで食堂に向かう。

 穏やかだった。風もなく、晴れ渡った空からは柔らかい陽光が降り注いでいる。時間がピークと少しずれているためか、食堂へと歩く者も、食べ終わって帰る者も、ほとんどいなかった。

「平和だねぇ」

 思わず呟くクラウン。午前中いっぱい野生動物捕獲に駆り出されていたため、危険一つ感じない今が、とてもゆったりしている。

 けれど。

 ばたばたと足音が響く。誰か走っているようだ。突き当たりのT字路から聞こえていて、右ならば食堂、左ならば薬学部である。

「もう、廊下は走っちゃだめだよって、ねえ、エス」

 エスクードは賛同も否定もしない。返事が面倒なのか、疲れてぼうっとしているのか。

もうエスったら、話聞いてないよ、と愚痴る。

 どうであるにしろ、ひどく平和だった。駆け足の音は徐々に近付いてくるが、二人に何の関係もない。エスクード、クラウン両名は、今から昼を食べに行って、それ以外の用事はないのだ。

 だがしかし。

 食堂側から姿を現し、全速力で横切っていったのは。

「あれ、エリー?」

 クラウンは素っ頓狂な声を上げ、エスクードの腕を引っ張った。

「エス、さっきエリーが走ってた」

「・・・はあ? んなわけねえだろ。あいつが、走るだって?」

 やはり見ていなかったようだ。もうちゃんと見ててよ! と少し怒ってみせて、

「そうだよね、エリーが廊下走ってくなんておかしいよね? でも、見間違いじゃない、あれは絶対エリーだった!」

 エリオを、他の誰かと見間違えたりするものか。クラウンは絶対の自信を持っている。

 エリオとエスクード、番号順で後ろ前になって、初日から喧嘩していた二人は有名だったが、それだけなら興味を示さなかった。一年に三度、学部学科関係なく各学年で統一試験が行われる。基礎学力を満たしているか、その努力をしているかどうか。そのたび、クラウンはエリオの背中を追いかけてきた。

 意外に思われるが、試験でクラウンは二位また三位を維持し続けている。一位はもちろん、エリオだ。一位から最下位まで、廊下に張り出された長い紙。順位などに目を留めることもなく素通りしていくエリオを、何度後ろから見つめたことだろう。――色合いを変える蒼黒色の髪。焦げ茶のリボンでくくられて、こちらを向けば、時に伊達眼鏡をかけた、鋭い紅茶色をした瞳。

 だから、見間違えるはずがない。・・・とはいえ、今では目の前に立って話すことの方が圧倒的に多いのだけれど。

「エーィリオウっ! どこに行くんだい? 謳わせておくれよ! この溢れる賛美をっ! 君への情熱をぉぉー!!」

 また誰か通り過ぎる。かなりの大声で、何か叫びつつ。

 食堂から薬学部へ向かって走り抜けた、第二の人影。光振りまく豪華な金の巻き毛を、真紅の極太リボンでくくっている。

「エィリオォー!!」

 かなり目立つ人物は、だっと通ってさっと消えた。エスクード、クラウン両名は、知らずのうちに歩みを止めてしまっていた。

「・・・何あれ」

「・・・」

 言葉すら失くすエスクード。

「エリオ、置いてかないでよー!」

 さらに、全速力で走っていった二人をゆっくりと(これでも全速力なのかもしれない)追いかけていく少女。

「・・・クー」

 薬学部の方へ、クーの薄紅色の髪も消えていく。

「・・・」

「・・・」

 声も出ない二人を置いて、それでも時間は刻々と過ぎていった。

 

 その日の夜。

「・・・インプレッサだろう」

 断定したのはイプサムだ。

 ここは寮の部屋である。エスクード、クラウンは、駄目もとで尋ねてみたのだが・・・どんぴしゃりだった。金の巻き毛、真紅のリボン、言動。例の人物の特徴を言っただけで。

「インプレッサ、って・・・あの、“超”変人ってうわさの?」

「ああ。文学部表現科五年、インプレッサ。間違いないだろう。エリオが追いかけられていたというのも、彼相手ならば納得がいく」

「なんでだ?」

 断言したイプサムに聞いたのはエスクードだ。あっさりと理由が告げられる。

「インプレッサは、美しくて長髪の者が好きらしい。エリオは当てはまるだろう」

 まさしく当てはまる。

 エリオは自らの美貌に頓着しないが、間違いなく人目を引く華やかさをもった顔立ちをしている。すっと通った鼻梁、華奢な体に、白い肌。紅茶色の瞳は鋭いが凛とした美しさを引き立て、微笑めば途端に温かく優しげな雰囲気へと変わる。その背に流れる蒼黒色の髪は、光に当たれば蒼、黒、翠や薄灰にも色を変え、その洗練された美貌をさらに秀でたものとする。――とにもかくにも、男にしておくのが勿体ないほど綺麗なわけだ。

 当てはまりすぎ、と深く頷く。

「バカか、あいつ」

 何簡単に的にされてんだと悪態をついたエスクードは、小さなため息一つ吐くとベッドにもぐりこんだ。

「エス?」

「寝る。くだらない」

 本人には悪いが、確かにと思う。苦笑をにじませた他二人。

 二人は、エリオが帰ってくるのを待つつもりだった。

 なぜ、インプレッサに目をつけられたのか。気になるじゃないか。

「うーん・・・エリー、有名ではあるけど人付き合い多い方じゃないから、薬学部と正反対の建物に知り合いなんて、いるのかな。それとも、偶然出会っただけ?」

「さあ・・・だが、有名ならば、その容姿などがインプレッサに伝わっていてもおかしくはない。大方、どこかですれちがいでもしたのだろうな」

「きっとね」

 本人無頓着だから余計に噂にされるんだよね、と口に出す前に、扉が静かに開いた。

「あ、お帰り、エリー」

「ああ・・・まだ起きてたのか」

 どこか疲れたように答えるエリオの髪は今はほどかれて、光源である炎の明かりで薄蒼灰に染まっている。後ろ手にドアを閉め、自分のベッドに腰かけると、片手で顔を覆って深くため息をつく。

「・・・大丈夫か」

 イプサムの問いかけに、片手を振って応じるエリオ。しばらく沈黙。やがて、クラウンが口を開く。

「インプレッサに追いかけられてたね。見てたよ」

 ぴくっと反応。顔に覆いをしたままで、また深くため息。

「なんであんなことになったんだか・・・」

 エリオは本気で嘆いている。愚痴や毒舌を言うこともなく、これは重症だとクラウンは内心驚いた。イプサムが淡々とした口調で、

「なぜだ?」

「数日前、いきなり。理由は知らない」

 ぽつりぽつりと語りだす。

 ・・・数日前、その日は食堂のランチ定食ではなく、パンを買った。クーと、もう一人同研究室の四年生・レクサスとともにエリオは庭に出たのだという。

「レクサス? エリー、クー以外に知り合いちゃんといたんだ!」

 クラウンの失礼な言葉にエリオは眉根を寄せただけ。悪言を吐くのも面倒なようだ。たしなめたのはイプサムで、エリオは促されるとさらに先を続ける。

 突然だったという。木陰に腰を下ろし、談笑しつつ好き勝手に昼を食べ進めていく彼らが、インプレッサに声をかけられた・・・もとい見つかったのは。

「・・・なんてことだっ! こぉんっな美しいヒトを、今まで見過ごしていたなんて!!」

 芝居がかった口調とその絶叫に近い大声に驚き視線を向ければ、“嘆きのポーズ”とでも名付けられそうな姿勢をとった彼・・・金の巻き毛を極太の真紅のリボンでまとめた、まるで貴公子のような変人、インプレッサがいたのだ。

 エリオ、クー、レクサスともに、第一印象・何だコレとしか思えなかった。顔かたちはまあまあといったところで、特に、まばゆいばかりの金髪に映えるターコイズのごとき瞳は美しいと感じた。

 しかし・・・これは関わってはいけない、と直感する要素を含んだ男。三人はそろって広げていた昼飯を片付けると、ぱっと立ち上がった。

「人違いちゃいますかー? わてらアナタの知り合いちゃいますでー」

 レクサスはそう告げて、真っ先に身を翻した。

 銀に近い灰色の髪、やや鋭さが目立つが、クーのそれとはまた違う深みをもつ淡緑色の瞳。容貌は十人並みより少し上といったところで、エリオのような圧倒的美貌ではないものの、彼もまた十分に『美しいヒト』だった。ただし、言葉はやや特徴的だが。余談だが、クーは美しいというより可愛いである。

「それで、どうなったの?」

 問われたエリオは、疲れきった表情で弱々しくかぶりを振った。

「売られた・・・レクサスに」

 一言で事情を察したクラウン。常にはないひきつった笑みを浮かべて、乾いた声で、あははは・・・それはご愁傷様、何とか笑い飛ばしてみるも、その後の気まずさに耐え切れず、ごめんと謝る。

「・・・どういうことだ?」

 理解していないイプサムは、ぐったりしてしまったエリオを避けて、いたたまれなさに柄にもなくため息をついているクラウンへ尋ねた。クラウンは言いにくそうに目を泳がせていたが、やがて小声アンド早口で、

「レクサスさんって人は、変態・インプレッサが自分に付きまとわないように、エリーを身代わり・・・人柱に立てたってこと」

 イプサムはあからさまに驚き、エリオとクラウンを往復して見つめる。エリオはひらひらと手を振って肯定に変え、クラウンは苦笑に近い笑いを返す。

「それは・・・ひどくはないか」

「俺があいつだったら、同じことをしている。俺もレクサスも面倒や危険を避けるのは最重要課題だし、先手を打ったのがあっちだったというだけだ。俺はひどいとは思わないし恨みもしない。ただ・・・あまりに厄介で」

 淡白といえばあまりに淡白だが、元々平等互恵な関係ではない。だから、エリオが責めているのはレクサスではない。

 結局のところ、エリオはインプレッサという男を舐めてかかっていたのだ。なかなか振り切れない相手に心底疲れ果て、またそんな状況を招いた自分の行動(この場合は、まず相手に見つかるような場所へ行ったこと、次にレクサスに遅れをとったこと、さらにエリオ自身の判断の甘さ)を悔しく思っているのだろう。

 そんなエリオの性格をわかっているといないでは、理解に大きな幅が出る。イプサムはなお困惑した様子で、いわゆる裏切り者に対するエリオの態度をいぶかしんでいるし、クラウンはクラウンでなんら解決策を明示できず、言葉をつまらせている。

「・・・お前らいいかげん寝ろっ!」

 沈黙が落ちた瞬間。タイミングを見計らっていたように、一足先に眠っていたはずのエスクードが怒声をかました。

 そして、結局事情を理解するのみで、話はしまいとなった。

 

 朝が過ぎ、昼となり、やや遅い午後の廊下。ふんわりとした光が差し込んで、窓越しのそれは少し虹色に色付く。きれいだな、と柔らかな微笑みを浮かべつつ、クラウンは食堂向かって歩いていた。

 今朝目覚めた時、エリオとイプサムは既にいなかった。エスクードは最後に起きて、クラウンより早く用意を終えて出て行った。

 エリーは平気かな、と思う。常の毒舌をきく元気もないほど憔悴されると、さすがに心配にもなるというものだ。

 ・・・今日も今日とて、平和である。人気のない廊下、かつんと響く足音すらはっきり聞こえる。昨日と違ってエスクードすらいない、完全な静けさ。

 エリオとインプレッサ(おまけクー)の追いかけっこを見ることもなく食堂へたどりついたクラウンは、今日のランチを頼み、ほとんど待ち時間なく出てきたそれを手に、座席に目を走らせる。空きは多い。だがクラウンが探すのは、空席ではなく知り合いの姿だ。

「昨日と同じようなら、もしかして・・・」

 そして、やっぱりいたと呟いた。

 食堂の一番角、入り口から一番遠い座席に、机に突っ伏す彼がいる。日当たりのよいその席にいる彼・・・エリオの髪は翠がかった蒼黒色だ。

「・・・エリー?」

 本気で突っ伏している。近寄ったクラウンが小声で囁いても身動き一つしない。

「クラウン、しーっ!」

 そして答えたのは、少女の声。机の下から薄紅色の髪がちらりとのぞく。

「クー、何してるの、そんなとこで?」

 驚いて尋ねるクラウンに、クーはちょいちょいと手招きした。しゃがみこんで体を寄せると、クーは誰かに聞かれるのを危惧するように辺りを確認し、ひそめた声で説明する。

「あのね、今日は朝からずっと、追われてるの」

「知ってる。インプレッサでしょ?」

 重大な秘め事をあっけなく返されて目を丸くするかと思ったら、うんそれもあるけどね・・・とクーは完璧には肯定しない。クラウンは思わず大きな声を上げた。

「だけじゃないの?!」

 しー、しー! と慌てたように言われて、はっと口をつぐむ。なぜかわからないが、エリオにさらなる魔の手(?)がかかっている。自然、顔がひきしまる。

「詳しく説明して、クー」

 うん、あのね・・・とこちらも深刻そうな表情を浮かべた少女が語りだすことには、どうやら、後輩の追っかけが出来たらしい。

「・・・ポルシェ?」

 知ってる? と問われても、知らないと首を振るしかない。

 ポルシェという、薬学部人体医療科の一年生。薄茶の髪と目、小さくて目立たない少年らしい。

「うん。・・・なんか、エリオがまた創ったみたい。私は知らないけど」

 そのものの素晴らしさに感動して、傾倒して、追っかけになっていると。

「・・・えーと、おめでとう?」

「ご愁傷様、じゃないかな」

 昨日から返答に困ることばかりだなと苦笑し、突っ伏したエリオの横顔を見る。髪に隠れてわからないが、柔らかい光の元で眠るその姿は――状況が状況でなければ――さぞかし穏やかで美しいものだったろう。

 と、クーがぴくりと反応した。

「・・・来たっ!!」

 叫ぶとすっくと立ち上がって、エリオの体を勢いよく揺する。

「エリオっ! エリオ、起きて!! 来たよ、早く隠れて!」

 ばっと、クラウンが近付いた時はぴくりとしなかったその背が起き上がる。寝ぼけてはいない。むしろ、焦りや苛立ちに近い顔をして、食堂の入り口をにらみつける。そして実に素早く机の下に逃げ込んだ。一足先にいたクラウンと、ばっちし目が合う。

「クラウン? なんでいるんだ」

「結構前からいたんだけど・・・えと、元気?」

 何を言えばいいのか戸惑い、とりあえず挨拶してみる。エリオは呆れたように嘆息して、なんでもいいから黙ってろよと釘を差す。クラウンは大人しく首を縦に振り、了解の意を示し、気配まで消してみせる。

「・・・来たっ!」

 もう一度叫ぶと、立ち上がっていたクーもすっと机の下にもぐりこんだ。それとほぼ同時に、食堂の扉がばんっと勢いよく開かれる。

「エリオ様?! エリオ様、いらっしゃいませんか!!」

 その声は焦ったようにわずかに揺れて、少し高め。机と椅子の合間からそっと様子をうかがうと、クーの言った通り薄茶の髪と目をした小柄な少年が、白い頬を紅潮させきょろきょろと辺りを見回している。どことなく制服に着られている。

「・・・あれがポルシェ?」

「ああ」

 ごく小声の問いかけにさらに小声で返したエリオは、真剣な表情で息を殺している。

「・・・ねえ。本当に、一体何が起こったの、エリー」

「少し前に・・・麻酔を創ったんだ。それで、試作も兼ねて医療三科にあずけてみた。製作者は秘密にしておいてくれと言ったんだがな、ばれたらしい」

「で、未来の医療に多大な貢献をなさったエリオ様になんたら、ってわけか」

 重々しく、ため息とともに頷いたエリオの顔には、おごりも喜びも見受けられない。ただ創ったってだけなのに、と続けられた言葉からわかる通り、誉められたいから、感謝されたいから、と何かを創っているわけではないのだと。迷惑そうな表情からしてむしろそんなものには嫌気や不快すら感じているのだと、如実に表している。

「エリオ様っ! 一体、どこにいらっしゃるんですか?!」

「何、エィリオゥだと?! 今日は、ここにいないのかい。なんってことだ!!」

 そこに、第三者の声が混じる。げっと息をつめたのは、何もエリオだけではない。クーもクラウンも、新たな厄介ごとの予感に一瞬心臓が跳ね上がった。

「誰ですか、貴方っ!!」

「何、私を知らないのかい?! なんて嘆かわしい・・・!!」

「何者だ、と聞いているのです!! 名乗りなさいっ! エリオ様と、どんな関係があるのです?!」

「もう、しつけのなっていない子供だねぇ・・・まあ、よろしい。私が大人になればいいのだからね。覚えておきなさい、私はインプレッサ。エリオとは、そうだね・・・恋人同士に近いのか」

 な・・・?! と思わず上がりそうになったエリオの声を、クラウンは口を塞いで押しとどめる。もう片手では自分の唇の前に人差し指を立て、声なき声で、しーっ! と必死な形相だ。

「エリオ! 今ばれたらもう収拾がつかなくなっちゃうから、だめだよ!」

 ものすごい囁き声のクーもまた、そう言ってエリオを落ち着かせようとしている。その間にも、ポルシェ、インプレッサ間の口論は続く。

「こ、恋人ですって?! 何を・・・! お前のような者、高尚で優雅で秀麗で偉大なエリオ様が相手になさるわけがない!!」

 エリオが暴れる。体を床に押さえつけるようにしながら、クラウンもクーも必死だ。

「ふぅん、言うね。ならば君は、相手にされるというのだろうか。見たところ、貧弱な子犬のようではないか。エリオは子犬の相手などしないだろうね。あれは孤狼だ、君の言ったとおり、高尚で優雅で秀麗で偉大なね」

 何を・・・! 怒気もあらわなポルシェ。二人の間に、急速にぴりぴりとした空気が漂う。息を呑んで(エリオを押さえつけつつ)展開を見守る。やがてどちらからともなく、相手にびしっと指を突きつけた。

「勝負だっ! エリオ様に本当に相手にされるのは、どちらか!」

「ああ、受けてたとう!! そして絶望するがいい、お前など目の端にも入らないと言われてね!」

 次第に決闘じみてくる二人の物言いに、頭を抱え込んで叫びだしたいのをこらえるのはエリオ自身だ。かっと足音高く部屋を出て行った二人に聞こえてしまうかもしれないという愚さえ冒して、エリオは叫んだ。

「っざけんなーーー!!」

 それはそばで聞いた者の涙を誘うほどの、心からの悲痛な絶叫であった。

 

 そして、それから幾数日。エリオはこの問題児達に悩まされることになり・・・その後すっぱりと解決するのだが、また、それは後日の機会に。

 

*少し書き足し <クーの特技>:床、壁などに手や耳を当てて、遠くの音・声などを察知します。生き残った野生のカンでしょうか。意外です。




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