三章 “断罪と死” 15
突然響いた、今までとは質の違う爆発音。 「・・・ミナだ!」 リィンが緊張した面持ちでそう告げたので、シルフィラとコウも気を引き締めた。 三人は、地下の牢屋を飛び出して、上った先に武器庫を見つけて、そこで拝借した火薬類をふんだんに用いながら、最後は壁を吹き飛ばして外に出ていた。 朝、といってもかなりの早朝のようだった。壁を吹き飛ばすと同時に鳥がバタバタと慌ただしく飛び立って、太陽の光に透けるようなその羽が、妙に綺麗だ。 ミナだ、とはいっても、どこにいるのかわかるわけではない。ただ、音が響いただけで。火が出たのだろうが、煙はどこにも見受けられない。ただ目には、何個もの風車が飛び込むばかりだ。リィンだけが、どこかを目指してまっしぐらに突き進んでいく。 「リィンっ! 場所わかるのか?!」 「わかるっ!」 答えはあまりに呆気なくて、コウとシルフィラは顔を見合わせて怪しんだ。 「なに、なんでわかるんだ?」 「知るかって」 「リィン、魔法使えないんだろ? 魔法使ったから場所わかるってわけでもなさそうだし・・・」 「それ以前に、魔法使ったからって場所がわかるわけじゃないんだってば」 シルフィラはそう言って、走りながら考え込んだ。 「二人は、恋人・・・なのかな? だったらもしかしたら、好きな女を守りたい男の勘とか」 コウは途端脱力して、コケそうになった。 「・・・本気で言ってるのか?」 シルフィラはコウの顔をじっと見て、一言。 「・・・案外本気」 そう言った。コウは、深くため息をついた。 そして、くるり。コウとシルフィラは全く同時に体の向きを180度反転させた。 「じゃ、俺らはおとりになろう。ミナがこの町を焼き切るまで、ね」 そう言ってまるで悪役のようににっこりと微笑んだシルフィラ。 「リィンっ! ちゃんと町焼かせろよー!!」 コウは一人走っていくリィンの背に非情にそう告げた。リィンは振り返りもせずどんどんと走っていった。 「・・・作戦忘れてないよな?」 「さぁ・・・でも暴走ってそんな簡単にコントロールできるものでも、止められるものでもないだろうから、その頃には焼き切ってるだろ」 コウとシルフィラはそう会話を交わして、背を合わせてそれぞれ好きなように暴れ始めた・・・。
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