間章 3
野宿の場からさほど遠くもない場所に、川の流れを見つけた。それを見たミナは、恨めしげな目で他の三人を見る。 「な、何? 俺なんかやった?」 シルフィラが困ったように聞けば、コウとリィンはそろって横に首を振る。するとミナは、無言で自分の荷物をあさりはじめる。 「・・・?」 その様子をいぶかしげに見つめる三人。黒精霊は「ちょっと散歩してくるー」と言って、今はどこかにいなくなっている。 「水浴び、するわ」 荷物からタオルを取り出したミナは、唐突にそう言った。それを聞いた男三人は純粋にビックリしたような顔をした。ミナはさっきと同様恨めしげな目付きで、 「のぞいたら、焼く」 きっぱりと言い放ち、男衆が何かを言う前にさっさと行ってしまった。遠ざかる背中からは何かぶつぶつと、「女一人だとこういうとき・・・」などと聞こえていた。 「・・・のぞく?」 コウが恐ろしいことを言う。それにリィンは、顔面蒼白を通り越して鬼気迫る恐怖の表情を浮かべて、コウへと詰め寄った。 「本気かっ?!!」 コウはもちろんのぞくつもりなどさらさらなかったので、その過剰な反応に嫌そうに顔をしかめて、 「なわけねぇだろ、バカ」 とすげなく返す。シルフィラはそんな二人の様子を見て、優しく笑う。 「ミナが出たら、俺らも水浴びしよっか」 提案した声は非常に明るかった。間違っても、のぞこうなどとは言わない。冗談でも、焼かれる可能性が大だから。
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