四章 “オブ・セイバ” 2
町には予定より一日早く入れた。街道を同じ方向へ進む小さな隊商の人たちが、親切にも馬車へのせていってくれたのだ。もっとも金は払ったが、たいした額ではなかったのでほぼ親切心からくるものだったのだろう。その証拠に、四人全員あまりに若いのを見て心配に感じたのだと言っていたから。 思えば、確かに若い。コウは十五、シルフィラは十八。リィンは二十四にミナは詳しくは教えたがらなかったが、大体二十三、四というところだろう。 「不憫なもんだね。その若さで、自分達だけで賞金稼ぎかい」 同情を告げる言葉を言いながら、あまりいやな感じがしなかったのはその男の様子があまりにさばさばしていたからだろう。白混じりの赤茶けた髪は短く切られているのにどこかボサボサな感じがして、灰色の強い目は生気に満ち溢れて輝いていた。年齢は、四十代くらいだろう。 ――いい品が入ったから、あの町で一山もうけるんだ。なんだと思う、なあ? なんだと思うよ。・・・魔獣の毛皮さ。それも特大の! 柄も発色も申し分ない、素晴らしい出来さ! 町までは出来る限りのハイピッチで進み、一行を町の入り口で下ろした男は、そう言って笑ったものだ。あっさりと別れは済み、無事町へと入ることが出来た。――町を目指して歩き出してから四日目の、まだ正午を過ぎたばかりの頃だった。
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