〈月〉 五章 “人の子” 6
家にはオトネとクスハがいて、泣き崩れる良子を励ましていた。レオとヒビヤに連れられ戻った光良を良子はきつく抱きしめて、あなたまでいなくなるかと、としゃくりあげる。光良は良子を抱き返し、ごめん、と震える声で謝る。 ・・・シルフィラに居場所があるように、光良にもまた、居場所がある。 それを守ってくれた者達がいる。彼らは、叱り、励まし、そしてただ側にいてくれる。大切な大切な、失いたくない友達。 光良と良子の二人は、落ち着いた後、笑顔で彼らに頭を下げた。 レオ、ヒビヤ、オトネ、クスハ。それが、二人の恩人達の名前。 ――そして、世界は回り続ける。人の子のために。人の子のせいで。世界はずっと、回っていく。絶え間なく、果てもなく。
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