リィスのひとびと

<保護者七題>   2.言った傍から何故転ける





 ラステールの通う学校を一度見ておこうと思って、アリアールはラステールの後についていく。ここ南区は傭兵の地区、ラステールのような子どもが一人で歩けば目立つが、アリアールが一緒ならば・・・余計に目立つ。

 ラステールはびくびくしていた。アリアールと一緒に歩くと、自分一人の時より、周りの視線が痛い気がする。

「ほら、何余所見してんだ。さっさと歩け」

 アリアールはずっと不機嫌そうで、ラステールは何度目かのごめんなさいを言う。この青年に対しては、すっかり謝り癖がついてしまった気がする。そして、訊きたいことが訊けないで挙動不審になる。

 目が痛い。通りすがりの傭兵の男性、その隣にいた青年、出店で薬やナイフを売る女性・・・皆睨んでいる気がする。

「おい、何きょろきょろしてんだ。ちゃんと前見て、しっかり歩けってば。・・・転ぶぞ?」

 アリアールが呆れたように声をかけると同時、ラステールは何もないところで、自分で自分の足に引っかかって、顔から盛大にこけた。

「・・・言ったそばから、こけんなよ」

 アリアールは呆れ、鞄の中に常備している傷薬と包帯で、すりむいたラステールの膝を処置し、何か見てられない、と手を取る。

「もういいや、ついてこい。で、どこで曲がるか教えろ」

 ラステールはごめんなさいと頷いて、アリアールの手をきゅっと握り返す。

 

 

 こんな危なっかしい子どもにしたの、どこのどいつだ。本当恨むぞゲイリード、と舌打ちしたアリアールは、ラステールを引きずって南区を後にした。




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